頸損だより2007冬(No.104) 2007年12月22日発送

コラム

「快適な冬の過ごし方」

坂上 正司

外ではまだツクツクボウシが鳴いているというのに、こういう原稿依頼が迷い込んでくる。いくら想像力が豊かでも、季節の先取りは難しいものだ。しかし、それでもない知恵を絞って考えてみることにする。大分類は衣・食・住。

まずはアルコール。体のことを考えてのむなら焼酎のお湯割りがお奨め。それも適量にしよう。飲み過ぎると気分が悪くなったり、寝込んでしまうようなことになれば逆効果だ(R20)。

食事には温かいスープを付ける。味噌汁でもいい。野菜がたっぷりだと栄養のバランスもいい。飲もう。

辛いものを食べる。塩辛いものはNG。唐辛子系の辛いもの。唐辛子は温かい料理と食べると効果抜群。冷たい料理に付加してもほとんど効果はない。ちなみに冷たい料理を温かく感じたいときは和辛子がベスト。ただ、和辛子に関してはそう感じるだけで実際に温まっているわけではないので気をつけよう。

やっぱり鍋物。グループで食べる場合は頸損はやや不利な立場に追いやられるので、普段からの人脈づくりを怠ると寒い食事になりかねない。

とにかくできるだけ温かいもの食べる。それが変温動物である頸損には不可欠。外食でコンビニになりそうなときでも、サンドイッチはやめておでんにすれば栄養的にもGood(筆者は七壱壱がお奨め)。街中で焼き芋を見つけても我慢しない勇気が頸損には必要といえる。

重ね着。しかし枚数を着ればいいというわけではない。頸損の場合、それが体の動きを制約してしまうことになるので、効率よく重ね着しよう。肌に近いところは木綿、ウールなどの空気層をつくる物を挟んで、一番外は通気しない革などにすると保温性は抜群。木綿だけの重ね着や、革ジャン一枚などはお奨めできない。

頸損は発汗のことはあまり考えないとしても肌着Topは木綿がお奨めだが、昨今の機能性肌着も捨てたものではない。衣服内の温度調節機能がある機能性肌着も一着1,000円台から発売されている。「汗を吸収して繊維自体が発熱しながら、過度の湿気を放出して体感温度を調節する放湿放熱機能を備えた肌着」、「汗や湿気によって繊維が伸び縮みして通気性をコントロール、衣服内の環境を快適に保つ“繊維が呼吸する肌着”」などがあるが、筆者は量販店で入手したアクリル製のインナー作業着(500円)を昨年から使用している。白、黒、グレーのモノトーンなのでファッション性には欠けるが、インナーとしては充分だ。今年はさらに進化したものが発売されるだろう。

某雲丹黒のCMでもお馴染みのパッチ(おしゃれに言えばタイツ)も今年ブレークしそうな気がする。筆者は昨年から量販店で入手したあったかタイツを使用している。「そんなのはいたら若者でなくなりますよ」というヘルパー(♂24・ちなみに年中風邪引き男)の言葉も気にならない。ちなみに筆者は、そのまま使うと介助しづらいのと、収尿器の仕舞ができないので、股で左右に切り離して使っている。

カイロ。低温ヤケドが心配でも、服を2枚重ねた上ならばそう気にしなくても良い。使い捨てなら貼るタイプのものが位置がずれなくて便利。筆者は貼らないタイプをズボンの縁に差し込んで使っている。最も寒さを感じる部位は頸筋から背中にかけてだそうだが、ここにカイロを貼るより、ネックウォーマーやマフラーを使って頸周りをガードする方が効果的だ。これらは頸や背中を外から入ってくる外気からまもるということ以上に、セーターなどでつくった空気層の暖かい空気を外に出さないという役割が大きい。カイロと言えば最近靴用のものも出はじめている。今年こそ手を出してみようとは思っているが、今年のヒット商品になりそうな「ゆたぽん」(ゆたんぽではない)も気になる。

マフラーを巻く。今年の夏はマフラーにニット帽がファッションだったらしい。さすがにうちの年中風邪引きヘルパーはこんな格好はしてなかったが、彼曰く「ファッションとは我慢すること」らしい。「切れる」世代がいうから余計納得できない、がそんなことはどうでもいい。マフラー、ネックウォーマーやレッグウォーマーも含めて、先ほども語ったように防寒具としては重要な位置を占めている。と同時に、夏でもワンポイントとして扱われるほどファッションの重要なアイテムにもなりうる。茶系ダーク系の色合いになりがちな冬服に思い切って明るい系統の色や派手なデザインを合わせてみればどうだろう。そういうのと逆の視点でいうと「職場でつけていても違和感がないミニマフラー」等という代物が、昨年辺りからウォームビズの影響でじわっと流行っているようだ。幅15センチ×長さ75センチのミニマフラーは、オフィス内で使ってもそれほど違和感がない色とサイズから人気。また、ウォームビズで緩やかにブレークしているネックウォーマーもある。タートルネック風とジップアップスタイルの2種類が利用できるシャツの中につけるネックウォーマーは、着脱が簡単で、かさ張らない。いずれも頸損にはもってこいのアイテムになりそうだ。

ウォームビズ。頸損とはあまり関係ないようなキーワードに実は暖かい冬のすごし方のアイデアが詰まっている。ジャケット。2つボタンのジャケットが復活しているが、以前よりもボタンの位置が高いのが流行のようだ。座ったまま着る頸損にとってはローライズのスラックスが流行って以来の嬉しい流行だ。裏地に蓄熱素材を使用したものも登場している。セーター。薄手で、ファスナーやボタンつきのハイネックタイプの前開きセーターなら頸損でも着やすい。ベスト。ツイードやニットを選ぶと良い。首元のVの開きは、深めが流行だが、あまりお奨めではない。ネクタイ。ウール混素材のものを選ぶだけで暖かみが違う。靴下。着圧コントロールで足の疲れを緩和するハイソックスは頸損には嬉しい。靴。ハイカットの靴というかローカットのブーツみたいなのが流行っているらしいが、これも頸損には朗報かも知れない。で、ウォームビズの仕上げは、温感クリーム。以前、大阪頸損連の新年会の景品でいただいた白元の「ぬるホッカイロ 温感クリーム」は、今でも筆者の必需品だ。手足にクリームをつけ、マッサージをする要領でよくなじませることで、暖かさを保つことができる。

時間切れ。また次の機会があれば書きます。すんません。



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