頸損だより2003春(No.85)


 春の準備

薄っすら残る雪の隙間

ひっそり静かに隠れてる

長い冬の間

厚い雪の下

ずっと寒さを堪え忍び

じっと我慢し待ち続け

雪が解けるまで

暖かくなるまで

力いっぱい生き抜いて

しっかり支度を整える

生命がふたたび顔をだす季節

春はもうすぐそこまで


 再生

崩れかけた大木の幹

ひっそり芽生えた小さな希望

今はまだ手のひらに乗るくらい

いつかまた天に向かって

輝かしい未来へと


 いのち

きらりと光る小さな目

とても小さな命の炎

大きな希望を胸に抱き

大きな声で叫んでる

ここに生まれてきたんだと


 桜

やさしく通り過ぎる春風

小雪のように舞い降りる

うすく小さな恋のかけら

静かに流れる季節の中に

はかなく揺れる二人の心


 声

見えない君を

感じる手がかり

うれしい声

たのしい声

かなしい声

おこってる声

いろんな気持ち

とどけてくれる

その美しい君の声

如月優喜

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